何度見ても、この映像と音楽が永遠に終わらなければいいのにと思ってしまう。最初からもうガッチリと心を鷲掴みにされて、見終える頃には呆然となり、そして瞼の裏側にはテキサス砂漠の青い空の残像が。愛と孤独と旅の果てにあるものが、浮かび上がっては消えてゆく。ロードムービーの絶対的な金字塔。
ヨーロッパ特有の暗さの中に、青い氷河のような美しさを併せ持った、儚くも悲しい物語。近所では嫌われ者で、覗きが唯一の趣味という冴えない中年の仕立て屋の、一途な思いと優しさが究極の純愛に変わるとき、その悲劇は訪れる。裏切りとは分かりつつも、甘美なまでの運命に身も心もゆだねて堕ちてゆくその先には、あまりにも切ないラストが。
何から何までが何でこうなるの?というくらいに極端で激しすぎる愛のカタチを表現するベアトリス・ダル。壮絶なまでの演技に、ある意味引いてしまいそうになるのだが、そのトゥーマッチ感に次第に引き込まれ、途中からは彼女に感情移入さえしてしまう。逆にそうでないと、衝撃的すぎて観るのはちょっとキツイかもしれない。