アルコール依存症により死の淵を彷徨い、入院することになった主人公・小島容。とはいいつつも、本人の自伝的色合いが極めて強い作品である。豪快な主治医との会話や、偏屈な入院患者たちの人間模様をコミカルに描きながらも、その一方で自らの惨い末期症状については、得意の自虐的な語りと観察力でとことんまで対峙する。そこがまた何ともホロ苦くジーンとくる。
転落事故の1週間前まで続けられていた、自身の企画による対談集。登場する柴山俊之・竹井正和・宇梶剛士・本上まなみ・安部譲二・松尾貴史の6人は、今やそれぞれの分野では著名ではあるが、実は他になりたかったものがあった「なれずもの」だという。もちろん対談は「ならずもの」に憧れる、らも氏の愛あるスットボケで脱線しまくり。キッチュが語る『松田優作の伝説の喧嘩』が凄まじい。
表紙の若かりし頃の写真に惹かれて思わず買ってしまった。著者は本人ではなく、らもと十代から最後まで親友だったフランス文学者の鈴木創士(元EP-4)。この作品にはおちゃらけた空気は一切なく、らも本人の苛烈で破滅的な生き様とその周辺に存在した退廃的な世界が、多分に文学的な表現で語られている。「生き残ったのは俺とお前だけだ」。らものこの言葉は何度も筆者の胸にこだましていたという。