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すべては地中深くに埋葬されて

2005.05.03

梁石日 「夜を賭けて」

夜を賭けて

梁石日(ヤン・ソギル)
"夜を賭けて"


夜を賭けて
山本太郎主演で映画化もされている。

日本三文オペラ

開高健
"日本三文オペラ"

関西の、それも大阪にごく近い尼崎という土地で育ち、しかも働くようになってからは、毎日大阪へ通っているにもかかわらず、あの広大な大阪城公園が、かつてアジア最大の兵器工場であったという事実は全く知らなかった。八月十四日にB29の猛爆で壊滅したその場所は、戦後10年以上を経ても、大阪造兵廠跡として廃墟のまま放置されていたという。

その当時、猫間川をはさんで、大阪造兵廠跡の対岸に集落を構えた在日朝鮮人たちは、アパッチ族と呼ばれ、夜な夜な廃墟に埋まった兵器や鉄屑を掘り起こして生活の糧としていた。そして集落以外からも、掘り出した鉄を売ってボロ儲けしているという噂を信じて、食い詰めた人間が最後の糧を求め、押し寄せてくるのだった。ただし、そこは廃墟とはいえ近畿財務局管轄下の国有地であったため、常時、警察が不法侵入者に対しては目を光らせていた。

この物語は、金義夫を中心とするアパッチ族vs警察との戦い、言い換えれば、戦後の日本という国家が在日朝鮮人に突きつけた不条理に対しての、抵抗の物語である。「生きる」ということ、その一点のみに賭ける凄まじいまでの執着心。現代社会で暮らす自分達には、想像もできないほどの生命力。そして物語は後半、またもや自分はその存在すら知らなかったのだが、大村収容所という、ナチスのゲットーに匹敵するようなこの世の地獄へと舞台を移す。

しかし何という強烈な作品。ここまで食い入るように、むさぼるように、本を読んだのは久しぶりだった。この剥き出しの「生」がヒリヒリと燃える様は、中上健次の『枯木灘』と共通するところがある。

ところで、なぜ彼らはアパッチ族と呼ばれたか。当時、洋画ファンを熱狂させていた、西部劇の中のジェロニモを酋長とする神出鬼没の勇猛果敢なアパッチ族と、夜陰にまぎれて鉄塊をかっさらっていく、朝鮮人集落の者たちとをオーバーラップさせて、マスコミが書き立てたのである。

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