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心に沁みる秋のサウンド

2005.10.02

Wilco 「Yankee Hotel Foxtrot」「A Ghost Is Born」

Yankee Hotel Foxtrot
ウィルコ
Wilco
"Yankee Hotel Foxtrot"

A Ghost Is Born
ウィルコ
Wilco
"A Ghost Is Born"


Wilco

95年のデビュー当初から、ウィルコのサウンドはよく「オルタナティブ・カントリー」と言われていた。適度に牧歌的で素朴、適度に泥臭くてポップ、そして程々のササクれ感など、まさにそういった括りがピッタリであったが、逆に言えばあまり引っかかりが無い。なので自分としては、新譜が出るたびに試聴盤を耳にしても、ほとんどと興味が持てなかった。悪くはないのだが敢えて聴きたいとも思わないという、その程度の印象で終わっていたバンドだった。

ところが音響系の鬼才ジム・オルークがサウンドプロデュースに関わった前作「Yankee Hotel Foxtrot」から、一躍気になる存在となる。おそらく楽曲の本質はあまり変わっていないはずなのに、録音&ミックスでここまで印象が一変するものなのかと驚いた。いや、声にも以前はこんなに憂いは無かったと思う。どうやら、レーベルの移籍やメンバーの脱退など、ボーカルでありバンドのリーダーでもあるジェフ・トゥイーディーは、精神的にギリギリの所まで追い込まれていたらしい。

バンドが本来持っていたルーツ的なロックの要素が、ジム・オルーク必殺のエレクトロニクス解釈によって暑苦しさとは無縁の、内省的かつ深遠なる世界へと化学変化を起こした。アルバムを通じて湧き上がる空気、ここにはアメリカという国が抱えている「影」の部分を、ひっそりと照らし出すランプのような、美しい夜の光がある。夏から秋へ、晩秋から冬へ、まさに今この季節に鳴らされる音として心にスーっと染み込んでくる。特に6曲目の『アメリカ国旗の灰』は、イントロのギターが鳴った瞬間、全てがどうでもよくなるほどにグっとくる。

そして最新作の「A Ghost Is Born」、両者のタッグはより強固なものとなり、声+生楽器+電子音の絶妙かつ危ういバランスは、新たなアメリカンロックの指標となり得るほどの到達点に辿り着いた。エリオット・スミス、レッドハウス・ペインターズ、スパークルホース、ルー・リードあたりが好きな人には特にオススメ。

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