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帯の「おもしろい小説、ここにあります!」という見出しは本当である。次の展開が気になってしょうがない、まさにページをめくる指が止まらないほどのおもしろさ。このままエンディングが来ずに永遠に続いてほしい、とすら思う。おそらく下は中学生から、上はいい大人まで誰もがスカっと楽しめる小説なのではないか。
東京の中野区在住の主人公・上原二郎は小学6年生。学校帰りに中野の繁華街へと級友と寄り道したり、クラスメートの女子の誕生日会に呼ばれてドキドキしたり、銭湯の女湯を覗いたりと、どこにでもいるような都会の子供。しかし一つだけ大きく他の家庭と異なるところがあった。父・一郎は有名な元過激派で、いまだに公安からマークされているような筋金入りのアナーキストなのである。
超型破りな父は、税金など払う必要はない、学校も行く必要はないと豪語し、家庭訪問に来た若い女性教師には「あんた天皇制には賛成か」と詰めより、警察を相手に立ち回っては「国家の犬どもが」と罵倒する。そんな父に二郎はいつも生活を振り回されながらも、実は目下一番の悩みは、脅しをかけてくる極悪不良中学生・カツに屈するべきか、それとも勇気を振り絞って対決すべきか、ということであった。
サウスバウンド。「南へ」という意味のこの言葉どおり、物語は後半から西表島へと舞台を移すのだが、ここでも一郎の孤軍奮闘は止まらない。しかしながら、さらに加速するように大勢の人間を巻き込みながらも、生の輝きを失うことなく決して体制側へと屈しない父を見て、だんだんとその言葉や行動の意味を息子は理解し始める。大切なことは何なのか、と。
センチメンタルの欠片も見せることなく、眩いほどに躍動感溢れる登場人物たち。初めから終わりまで一度も立ち止まらずに、猛スピードで駆け抜ける物語。ハチャメチャさとシリアスさのバランス加減が絶妙で、少年から見たスリリングな冒険小説とも、大人から見た家族の絆を描いた小説ともとれるのが素晴らしい。
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