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カモシダユタカ、通称カモちゃん。戦場カメラマンとして絶えず世界中の激ヤバ地帯の中を生き抜いてきたせいか、何に対しても疑り深く、誰彼にでも喧嘩を売りまくる導火線の異常に短い男。漫画家・西原理恵子の元夫であり、ゲッツ板谷の盟友でもある。そしてこの怒りん坊の侍は、超が付くほど重度のアル中なのであった。
吐血して意識不明になり入院するも、退院すればまた酒を飲んでぶっ倒れ再び吐血、そして離婚。野垂れ死にすることに対して、全く畏れを抱いていないかのような破れかぶれの生き様を、ことさら淡々と述べるところは、同様にアル中であった中島らもを彷彿させる。ただしその本質は、中島らもが「芸」や「夢」から出発した『陽』であったのに対して、カモちゃんは常に「死」を軸とした『陰』といえる。
もともと戦場のルポが専門だったので、特に表現やタッチに工夫はあまりなく、文章も決して上手ではない。しかし、何でもないふとしたくだりに心を揺さぶられる瞬間が、何度も訪れる。カモちゃん自身の素の状態ともいえる、どうしようもなく鬱屈したパーソナリティが、様々な境遇を抱え込んでどこへも行けなくなった人たちと巡り会って響きあう時、小さな線香花火のごとく美しい輝きを放つのだ。
日本はじっこ自滅旅は、そんなカモちゃんが厳冬期の能登半島や初夏の薩摩半島、千葉の銚子・犬吠埼など、日本各地の先っぽを転々と逃避行しながら、行く先々で出会った味のある人たちとの出来事や、チリチリとした自身の焦燥感や孤独などを、書き綴った本である。
ボロボロであるが、馬鹿だとは決して云えない。体裁ばかりを気にする人当たりのよい薄っぺらな奴よりも、無愛想ではあるが実は人一倍温かいハートを持った鬼軍曹。優しさを表現するのが誰よりも苦手なのだが、感じる人にはどうやっても伝わってくる愛情がある。
※2007年3月20日、腎臓ガンにより永眠されました。享年42歳。
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