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定期的に海外へ買い付けに行くような、バイヤーの仕事を兼ねたショップをやってみたい。特に自分の好きな音楽や雑貨関連などで、そんな仕事が出来れば最高だろうなと甘い夢を描く。もちろん、その道ならではのトラブルや苦労は当たり前のようにあるだろう。それよりもまずシンプルな疑問として、レコードに限らず海外で大量の品物を買い付けるようなバイヤー達は、一体どうやって荷物を運んでいるのだろう。梱包はどうするのかとか、現地ではレンタカーで回るのかとか、送料は税関はとか等々。
本書は、日本の名だたるDJ&レコードマニア達が全幅の信頼を寄せてるというカリスマレコードバイヤー内田洋氏が、いかにして海外で「お宝」を発掘してくるのかを詳細にレポートしたものである。いやはや一般人の想像を遙かに超える壮絶さ。まず1回の海外買い付けにおける、1日の平均購入枚数300〜400という圧倒的な量に驚かされる。段ボールもある程度は日本から持っていくらしい。
さらに、電池を動くポータルブルのレコードプレーヤーを持参し、買う前には必ず試聴するというのにも驚いた。どの店に行ってもそのプレーヤーを売り場の隅にセットし、エサ箱(レコードの陳列棚をこう言うらしい)をしばらく掘って気になるブツが20枚くらいに溜まると、そのプチ・マイスペースへと運ぶ。ときどき他の客が興味深そうに見ているが、そんなことはまるで気にすることもなく、内田氏は背中を丸めて正座しながらヘッドフォンで1枚1枚聴いていく。決して値段だけでは判断しないのだ。
そんな行為を滞在期間中(1週間程度)、朝から晩まで何軒もハシゴしながらひたすら繰り返すのである。レコード屋がオープンしている日中は時間がもったいないため、昼食すら摂らない。まさにレコードヤクザたる所以、いやもうここまでくると「鬼」である。凄まじすぎる。僕が考えていた甘ちょろい夢は、いとも簡単に吹き飛ばされた。
微笑ましいのは、戦利品を前に深夜ホテルの部屋で仲間と酒を飲みながら「こんな良いレコード買ったわー」「うわー、これがこの値段で!」とついついワイワイやってしまう、というくだり。これはもう氏のレコードへの愛と情熱以外の何ものでもない。一日の疲れや苦労も吹き飛ぶ至福の瞬間とも言える。
しかし最終日には毎回、徹夜での荷造り&インボイス作成、そして税関対策の値札剥がしが待っている。何せ量が量だけにその地獄ぶりは半端じゃない。それでもレコード探しには夢がある、楽しくてしょうがないと、内田氏は今も旅を続ける。ロサンゼルス、ラスヴェガス、シアトル、バンクーバー、ケルン、デュッセルドルフ、ロンドン、ブリストル…。大型チェーン店から個人経営の小さな古いショップまで、味わい深い数々の中古レコード店内の写真もまた雰囲気満点の一冊。
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