| 子供の頃から世界の謎や超常現象というものが大好きだった。UFO、未確認生物、心霊写真、古代文明、超能力etc。しかし大好きにもかかわらず、それらの解説本を家に置いておくのは怖いのでもっぱら立ち読みですまし、買うのは比較的ソフトな雑学や宇宙に関する本にとどめていた。その中で、いつまでも忘れることのできなかったというか、心に引っかかっていたものに「フェルマーの最終定理」の謎があった。
nが2より大きい自然数であれば
Xn+Yn=Zn
を満たす、自然数X、Y、Zは存在しない。
これは17世紀のフランスの数学者フェルマーが、証明なしに残した非常にシンプルな定理で、当のフェルマーは「この定理の驚くべき証明法を見つけたが,余白が狭すぎるのでここに記すことはできない。」と本の余白に飛びっきり思わせぶりなメモを書き残して、世を去ってしまった。
例えばn=2であればいわゆるピタゴラスの定理となり(3,4,5)などの組が存在するが、このようにn=3以上になった途端、確かにその定理は正しそうなのに、どうやっても証明することができない。当然、数多くの天才数学者たちがこの不可解な難問を証明すべく何度も挑戦し続けた。しかし300年以上の間、誰も解明することができず、もはやそれは数学における永遠にして最大の謎、あるいはロマンとすら語られるようになっていた。
今でもよく覚えている。1995年、突然世界中の新聞の一面トップを飾った、イギリスの数学者ワイルズによってこの定理が遂に証明されたという発表。本書では、その偉大なる証明に至るまでには、日本人数学者の残した「谷山=志村予想」が極めて重要なファクターとなったという事実に深く触れながら、スリリングに核心へと迫っていく。テーマは数学でありながらも、感動的なまでにゾクゾクと、そして熱く引き込まれる人間ドキュメンタリー。 |