| 久しぶりにオーケンこと大槻ケンヂのエッセイを読んだ。筋肉少女帯の音はあまり好きではなかったが、この人の書く文章の方は昔から好きで一時期よく、といっても10年ほど前ではあるが、気分が沈み込んだだときや何も考えたくないとき、オーケンのエッセイを読んで気を紛らわすことが多かった。そういえば結構な数を読んだよなと思い、Amazonで調べてみたら知らぬ間にさらに物凄い数の著書が出ていたので驚いた。長編小説も出しているし、もう立派な作家である。
ところで彼のエッセイはどれも大概、超常現象・プロレス・B級映画・江戸川乱歩などのオタク系ネタと、暗黒の青春時代からバンドブーム初期〜絶頂期〜終焉までの身内・業界ネタが大きな2本柱としてあり、そこにノホホン・ボヨヨンとした(彼はこの2つの言葉が大好きである)とぼけたゆるいツッコミをスパイスに、面白おかしく描かれている。毎度毎度またこのパターンかよと思いつつも、ついププッと笑ってしまうのが才能というか人柄というか、もはや伝統芸能の域に達している。
そして新作の『暴いておやりよドルバッキー』、これは彼のエッセイの中でも最高の部類に入るのではなかろうか。いつまでも斜に構えることなく、相も変わらずUFOなんかのことを滑稽に熱く語る様に笑えるのはもちろん、プラス、40歳を迎えて自らの生き方に対して腹を括った潔さからくる男の哀愁ともいうべき渋さや心意気が、行間からあちこち滲み出てきているのだ。
特に筋肉少女帯再結成にあたって再会した元メンバーとのぎごちないやりとりや、ファンの前でのその大事な発表すらもギャグにしてしまう必殺のトホホさ加減、そしてときどき見せるミュージシャンとしてのビッとした仕事ぶり等、山あり谷ありの年月を乗り越えてきたからこそのシーンがたまらなく良い。笑いながらもホロリときてしまった。
バンドブーム時代の盟友、水戸華之介や人間椅子などの懐かしい面子も登場する。そう、みんなまだ元気にやっている。大事なのはそれが成功しているかどうかではなく、やっているかどうかなのだ。最後の「ずい分いかした人生の折り返しじゃないか。」というオーケンには似つかわしい台詞に、俺ももっと自分の人生を生きなければと思った。いつまでも本やCDがどうのこうの、などと言っている場合じゃない?
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