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世界中でアルバムを9000万枚以上売り、メンバー個人の資産はウン十億円という、まさしく世界最大にして最強のヘヴィ・メタルバンド、メタリカ。この映像は、アルバム『St.Anger』の制作にあたって、ベーシストの脱退やメンバー間の不和、アルコール依存症など幾多のバンド崩壊の危機に直面しながら、セラピストを雇ってまでも様々な障害を乗り越えて、メタリカが再びロックシーンに復帰するまでの軌跡をとらえたドキュメンタリーである。
そういえば15年ほど前、実家の居間のテレビでメタリカのライブビデオを口あんぐり状態で観ていたとき、ちょうど親父が仕事から帰ってきた。親父は横で晩飯を喰いながら「オレはジャズが好きだったのでロックのことはよく知らんが、この人達が凄いということは分かる!」と、何だか偉そうに豪語していた。つまり、ロックのことを知らないオッサンが観ても分かるほどにメタリカの演奏は凄い。
ジャンルを超越した鉄壁のバンドグルーヴ。人力の演奏でここまで強烈な破壊力を表現出来るバンドは地球上でメタリカしかいない。現に、へヴィ・メタルは興味はないけどメタリカは別というファンも多い。実はこの映画に対する自分の興味もどちらかといえばそこにあった。バンドの復活に向けてのドラマももちろんいいが、それよりもリハーサルスタジオで一体どのようにあのグルーヴが作り出されているのかが知りたかった。
結論からいうと演奏シーンについていえばバンドとしてのものはあまりなく、個々のパートの断片的なレコーディング風景の方が多い。そりゃそうだ、これはライブビデオではなく、アメリカ人が最も得意とする「成功→苦悩→ドン底→復活→再度栄光へ」という必殺パターンのヒューマンドラマなのだ。もちろん、そこはジェームス・ヘットフィールド(Vo,G)とラーズ・ウルリッヒ(Dr)という2大巨頭政治で運営されているメタリカ。スタジオ内での醜悪な言い争いや、クビになった元メンバーとの再会、家庭での良きパパぶりなど、見所は盛り沢山である。
しかし終盤、何人かの新ベーシスト(これまたその道では有名なミュージシャンばかり)をオーディションするシーンには震えた。後に正式メンバーとなるロバート・トゥルージロが入って4人が「せーの」で初期の名曲をスタジオで演奏する様は驚愕の一言。あまりのテンションの高さに鳥肌が立ちまくり。
本人に正式に合格を伝える際、ラーズの「俺たちの誠意の証として今すぐ契約料を払うよ。100万ドルだ。」と、ジェームスの「メタリカで稼ぐ金の前払いみたいなものだ。ハッハ!」という言葉には、スケールが大きすぎてもう笑うしかない。そしてカーク・ハメット(G)は、見れば見るほど話し方まで三上博史にそっくりだった。
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