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ネットはあなたの人生を変えない、という

2009.05.05

中川淳一郎 / ウェブはバカと暇人のもの

ムダヅモ無き改革
中川淳一郎
" ウェブはバカと暇人のもの"

哭きの竜
梅田望夫
"ウェブ時代をゆく"


東大を出たけれど
西村博之
"2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?"

毎日どっぷりとウェブの世界で仕事をしていて、以前からずっと感じていたことがある。それは「実業が忙しく、金を沢山稼いでいる人はウェブなんて興味がないのでは?」ということ。実際、同年代の医者や役人、経営者、会計士、そして大手企業の管理職などの友人と会話しても、ことごとく皆びっくりするぐらいウェブに疎い。メールは別として、必要があれば調べモノにウェブを利用するという程度で、ブログやSNSをやっている人など皆無である。

なぜか?単純に彼らは実業が猛烈に忙しく、ウェブなどやっている暇なんてないのである。mixiなどSNSでのユルい繋がりなんかよりも、実際に人と会い(相手も同様に忙しい人)、ネットでは絶対得られないような有益な情報を交換し合い、そしてその情報を自分が成長するために、そしてもちろん金を稼ぐために、ガンガン活用しているのである。本当に大切なのは1対1の顔を合わせての信頼関係であり、生きた会話だよなと、痛切に感じる。

さて、このストレートで秀逸なタイトルの新書であるが、Webの業界で飯を食っているボクからすると思わず手に取らずにはいられない。しかも著者はニュースサイトの編集やプランニングなどを行っている同業者だというから尚更である。

第1章 ネットのヘビーユーザーは、やっぱり「暇人」
第2章 現場で学んだ「ネットユーザーとのつきあい方」
第3章 ネットで流行るのは結局「テレビネタ」
第4章 企業はネットに期待しすぎるな
第5章 ネットはあなたの人生をなにも変えない

以上の全5章からなる本書は、ウェブが頭の良い人やリア充(現実の生活が充実している人)以外にどのように利用されているかを、現場の視点から、「暇人は目的もなくせっせと情報をアップする」(→まさにオレのことか?)「結局クリックされるのはB級ネタ」「バカの意見は無視してOK」などと、歯に衣を着せぬ物言いで描写している。なかなか痛快だなこの人(笑)。オモシロイ。

とは言え、ここで結論として述べられているのはインターネットの否定ではなく、「ネットはあくまでも情報収集や情報伝達の効率的な道具として素晴らしいが、ただそれだけのこと。企業も一般人もネットに過度な幻想を抱くのはやめよう」ということである。このあたりはGoogleを神と崇める『ウェブ進化論』の梅田望夫氏とは正反対の意見と言える。確かにネットは万能ではないし、ネットがなかろうが人々の生活は大して変わらない。多額の報酬を得たり、スポットライトを浴びている人は、リアルの世界で血の滲むような努力を重ねてきた人だ。

書かれていることは否定しないし、現実はその通りであろう。だがしかし、傾きかけた小売店をネットによって立て直した人や、ようやく自分に合った生涯で最高の医者を見つけて救われた患者さんなどもいるし、それだけじゃないろうと感じる部分も多々ある。ここに書かれていることが全てではない。もっとも、著者はそのあたりも当然認識したうえで、新書という限られた表現形態・テーマの中で書いているには違いない。この手の本では「言い切ること・断言すること」によってインパクトが増し売れるんだよな。

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