| 毎年自分の誕生月である10月になると、どこかで激しく体調を崩す。この月は気温の急な変化や夏の疲れなどが原因で、一年のうちで体調を悪くする人が一番多いらしい。家の用事、怪我、風邪、そして風邪からの喘息と1ヶ月も空手から遠ざかり、ようやく先日復活して身体を動かすことが出来た。汗をかきながら基本の型の一つ一つを、全身でかみしめるようにこなしていくことが何とも気持ちイイ。やっぱり人間、ある程度歳をとると身体を動かさないとヤバイです。調子に乗って次の日からダンベルを使って、久しぶりに筋トレも始めた。
ところが火曜日、仕事中に姿勢を変えた時、ピキっと背中の筋違いをやってしまった。要は寝違いの背中版で、昔から時々何かの拍子にやることがあって、一度これをやってしまうと3〜4日は激痛で寝返りも打てない。座っていることすらシンどいのである。さらに翌日は痛みがピークになり、駅まで行くのも一苦労で脂汗が出そうだった。いまカラまれたら小学生にも負けるだろうなと、いつものごとく下らない心配をしていたら、こんな時に限って嫌な状況に遭遇する。
朝はいつも阪急電車の「携帯電話電源オフ車輌」に乗っているのだが、痛みに耐えて立ちながら文庫本を読んでいると、目の前に座ったオッサンの携帯電話が鳴り、あろうことかそのまま電話で話し始めるではないか。一瞬にして不快な空気が混み合った車輌の中に充満する。しかしこういった場面では大概、誰も注意はしない。なぜか。それは多分次のような理由からだと思う。
仮にここで注意してその場は収まったとしても、もしもこの後、パンチパーマの殿方や、バッドなボーイたちが乗り込んできて携帯で話し出したらどうしよう、なんて考えてしまうのだ。そう、漫画やドラマでよくあるようなシーンの再現である。さらには自分のケータイは今、少なくともマナーモードになっていたっけ?などと不安にもなる。基本的には僕もこういった状況では、睨んだりする程度で直接注意したりはしない。
けれどもその日はあまりの背中の痛みのせいでイラ立っていたため、一気に頭に血がのぼってしまった。すると痛みも感じなくなるから不思議である。無意識のうちに、持っていた文庫本でそのオッサンの手を叩き、彼が顔を上げた瞬間に、自分は吊革の「携帯電話電源オフ車輌」という文字を不愉快度300%の顔で指さした。オッサンはバツが悪そうに携帯を切る。分かってるくせにするな、周囲にすみませんの一言もないのか。隣の同僚らしき男も我関せずという顔をしている。
何でいい大人が、わざわざこんなことしなければ分からないのだろうとウンザリする。注意する方もされる方も後味が悪いことこの上ない。電車の中で携帯で話しているのは、若者なんかよりも圧倒的に40以上の無神経なオッサン・オバハンに多いような気がする。小声で話すということすらしないというのが、まったくもって理解不能である。しかし自分は、いまの世の中こんな行動をしていたらいつか刺されるな。明日ホームに突き落とされるかもしれないな、と最近よく考える。
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