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愚か者の涙

2007.02.25

朝の通勤ラッシュ時に、頻繁に目にするようになった光景がある。混みあっている駅のホームや車内で、ちょっと身体や鞄がぶつかっただけなのに、大層に振り返りながらその相手のことを鬼のような形相で睨んでいる人が、やけに多いのだ。ひどい人になると、相手が気付かずに電車を降りようとしたときに、どさくさに紛れて後ろから肘打ちなどをしている人もいる。みんなネクタイをしめた普通のサラリーマンである。

満員電車なのだから、少々ぶつかったりするのはお互い様でしょうがないこと。しかし異様なまでに誰もがみんなイライラしている。いつから大人はこんなにも心の余裕を無くしてしまったのだろうか、数年前はここまで殺伐としていなかったような気がする。毎日そんな光景を目にしながら、あの人たちは相手が「喧嘩売ってんのかテメェ!」などと迫られても、本気で闘う覚悟があって睨んだり舌打ちをしているのだろうかとも考える。

きっと、相手がサラリーマンである以上、簡単には喧嘩にならないと分かったうえでの行為なのだ。これがニッカポッカを履いた土建屋風の男や、今時の若者が相手だったら、絶対に目すら合わさないはず。どいつもこいつも卑怯者めと呆れてしまう。まったく朝から嫌なものを見てしまったと最低の気分になる。そして電車に限ったことではなく、路上でも同じようなことがある。

僕は車の運転があまり好きではないので、スピードもあまり出さずに地味な車に乗っている。そうするとスモークガラスで白のワンボックスというような大きな車が、猛スピードで後ろにピタっとはりついて、のけのけといわんばかりに煽ってきたりする。そのような車種は一昔前までは、ちょいといかつい奴が乗る車と相場が決まっていたのだが、最近は普通の家族連れのお父さんたちが、ハンドルを握ったら別人、みたいな感じで運転していることがやけに多い。

大きな車に乗ることによって、自分が強くなったかのごとく錯覚している。これまた悲しくなるほどに愚か。ちっぽけな優越感に浸るのは勝手だが、それを他者との関係性に転嫁するなと言いたい。みんなもっと大らかにいこうよ。些細なことにいちいち腹を立てたって良いことは一つもない。こういった人たちは、いつかきっと痛い目に遭うに違いない、ヒヒヒ。月夜の晩ばかりや無いんやで、と前田日明先生もおっしゃってます。

 

すりガラスの向こうの、オレンジ色の暖かさを想像する。

 
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