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長距離バスの待合室

2007.05.12

夜のバス・ステーションは心地よい。仕事の帰り、阪急梅田駅にある長距離バスの待合室に、ときどき立ち寄ることがある。これから出発する人々に混じってベンチに座り、バスの時刻表などを眺めながらしばしボーっとしては、あぁたまには俺もどこかへ行きたい…と、遠くの知らない夕暮れの街を思い浮かべる。様々な人たちが、みんなそれぞれの思いを胸に抱きながらバスを待っている。

「来週ちょっと故郷へ帰る」などと誰かが口にするのを聞くと、心底羨ましいなと思う。自分もカミさんも実家は同じ尼崎市内にあるので、何もかもが違う環境の遠く離れた生まれ故郷というものに強烈に憧れる。例えば吉田修一の「7月24日通り」の舞台となっているような、長崎にある雨の似合う港町だったら、なんて。ワイン色したレンガ作りの古いビルに、霧雨にかすむ街の小さなパン屋の灯り。

そんな故郷があったら最高だろうなと想像しては、オメーは暇人か、いい歳して他に何か考えることないんかいと自分で自分に呆れる。呆れるけども、昔からこういった想像を始めると際限なく情景が膨らんで、しばし頭の中の世界で遊んでしまう癖があり、たまに電車を乗り過ごしたりする。オッサンの心の片隅に存在する、ちょいとばかし女性的な部分。書いていて自分でキモイ。

で、長距離バスなのだが料金を見るとこれが意外と安い。大阪発で例えば四国の松山(道後温泉)までなら往復で1万円ほどだ。尾道ならもっと安い。小さな鞄に一泊分の着替えと文庫本とカメラを詰めて、宿も決めずにフラっと行けるレベルの運賃である。行かない手はないではないか。これぞ、ささやかな贅沢というもの。よし今度、いや、そのうち絶対に行こうと心に決めていつもの帰路につく。なんだ結局は観光地かよ!とか突っ込まないでください。

 

母の日のプレゼントを買いに花屋へ。しかしこの多肉植物って、いつ見てもギョっとする。

 
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